
「生理痛がつらいけれど、産婦人科では何をされるのだろう」「内診はやっぱり避けられないの?」──初めて受診する方ほど、痛みや検査への不安から一歩を踏み出せずにいることが少なくありません。 生理痛で産婦人科を受診した際は、まず問診で症状を丁寧に確認し、必要に応じて内診・超音波検査・採血などで子宮や卵巣の状態を調べます。すべての検査が全員に行われるわけではなく、症状や希望に応じて相談しながら進めるのが基本です。内診も必須ではなく、公的機関の情報でも初診時の内診は必ずしも行われないとされています。
この記事では、順を追って次の内容をわかりやすく解説します。
①受診したときの診察・検査の流れ
②内診で何をするのか・痛みや必須かどうか
③生理痛の背景にある病気と受診の目安について
結論:生理痛の受診では「問診」から始まり、必要な検査を行う
生理痛で産婦人科を受診する際の流れは、まず問診から始まります。問診で症状や生活への影響を確認したうえで、必要な検査を判断します。初診で必ず内診・超音波・採血のすべてを受ける必要はありません。 問診を重視する理由は、生理痛の原因や重さに個人差があり、詳しい聞き取りによって必要な検査を絞り込めるためです。痛みの強さや日常生活への支障、月経周期の乱れなどから検査の必要性を判断します。まずは問診で状態を伝え、医師と一緒に適切な検査を決めていくイメージを持つと安心です。

検査は症状に応じて選ばれる(すべて行うとは限らない)
産婦人科の受診では、すべての人に一律で同じ検査を行うわけではありません。問診の内容から必要な検査を医師が判断し、患者さんと相談しながら進めます。 そのため「問診と超音波検査のみで終了した」「症状が強いため採血も行った」など、対応は人それぞれです。「すべての検査を受けなければいけない」と身構える必要はなく、必要な範囲で進められます。
産婦人科を受診したときの診察・検査の流れ
問診から始まり、必要に応じて内診・超音波・採血へと進む流れが一般的です。ここでは各ステップで何を確認するのかを順番に整理します。 基本的には、問診で症状を詳しく伺ったうえで、必要な検査を最小限で行います。各ステップの目的と内容は以下の通りです。
①問診(月経の状況や痛みの程度を確認)
最初のステップは問診です。医師や受付で、以下のような内容を確認されます。
- 最終月経の日、月経周期の長さや乱れ
- 経血量や生理痛の強さ、痛みが続く期間
- 妊娠・出産歴、これまでの婦人科系の病気
- 服用している薬・アレルギー、市販の鎮痛薬の使用状況
確認される項目は多いため、事前に生理の日付や気になる症状をメモしておくとスムーズです。うまく言葉にできない場合も、気づいたことをメモなどで伝えるだけで十分に診察に役立ちます。
②内診(子宮や卵巣の状態を触診で確認)
問診で必要と判断された場合、内診を行うことがあります。内診は、指を膣内に入れながらお腹の外側から手を添え、子宮や卵巣の大きさ・かたさ・痛みの有無を確認する診察方法です。 内診はすべての受診で必須ではなく、希望や状況に応じて相談できます。不安な場合は「今日は内診を避けたい」「初めてで緊張している」と事前に伝えて問題ありません。
③超音波検査(経腟エコー・経腹エコー)
超音波検査は、子宮や卵巣の状態を画像で確認する検査です。プローブと呼ばれる小さな器具を使い、経腟エコー(膣内から)または経腹エコー(お腹の上から)で観察します。 経腟エコーは詳細な観察が可能な一方、性交経験がない場合などは経腹エコーで対応することもあります。生理痛の原因となる子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫などの有無を確認する、身体への負担が少ない検査です。
④採血検査(必要に応じて)
症状によっては、採血検査を行うこともあります。子宮内膜症などが疑われる場合には、補助的な指標としてCA125などの腫瘍マーカーを測定することがあります。ただし、これは確定診断の補助的な指標であり、単独で診断を決めるものではありません。 そのほか、貧血の有無や炎症の程度を調べるために一般的な血液検査を行う場合もあります。すべての方に必須の検査ではないため、必要性に応じて医師と相談の上で実施します。
内診は必ずされる?痛みや不安への向き合い方
「内診がどうしても怖い」「本当に必要なの?」という不安は、受診をためらう大きな理由の一つです。ここでは、内診が必須ではないことと、不安への向き合い方を整理します。 生理痛の受診において、内診は必ずしも必須ではなく、個人の状況や希望に応じて相談が可能です。東京都の啓発資料でも初診での内診は必須ではないと案内されており、患者さんの意思を尊重した診療が行われています。
内診は必須ではなく、相談できる
内診は、生理痛の原因を調べるうえで有効なアプローチである一方、性交経験がない方や強い不安がある方には無理に行わないケースも一般的です。その場合は、経腹エコーや問診を中心に診察を進める選択肢があります。 「まずは問診と超音波だけで診てほしい」と希望を伝えることは決して失礼にあたりません。対応は医療機関によって異なるため、予約時や受付時に相談しておくと安心です。
不安なときは事前に伝えてよい
痛みや恥ずかしさに対する不安は、受付や医師に遠慮なく伝えて問題ありません。「初めてで緊張している」「痛みに弱いので配慮してほしい」と事前に共有することで、医師や看護師も声かけや進め方を配慮しやすくなります。 診察中は、大きく息を吐きながら体の力を抜いたり、目を閉じてリラックスしたりすると負担を軽減しやすくなります。万が一痛みが強い場合は、途中で中断を申し出ることも可能です。「我慢し続けなくていい shadow」と知っておくだけでも心の負担は軽減されます。
生理痛の背景にある主な病気(月経困難症)
日常生活に支障が出るほどの強い生理痛は、「月経困難症」と診断される場合があります。 月経困難症は、明確な病気が隠れていない「機能性月経困難症」と、子宮内膜症や子宮筋腫などが原因となる「器質性月経困難症」に分かれ、原因に応じて対処法が異なります。それぞれの特徴と主な治療の考え方は以下の通りです。
月経困難症の分類
| 項目 | 機能性月経困難症 | 器質性月経困難症 |
|---|---|---|
| 背景・原因 | プロスタグランジン過剰・子宮の過収縮などが関係 | 子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症などが背景 |
| 特徴 | 思春期から若い世代に多い | 年齢とともに痛みが強くなる・経血量が増えることがある |
※確認方法は問診と超音波検査などで判定されます。診断は医師が行います。
機能性月経困難症(特定の病気が原因でないもの)
機能性月経困難症は、検査を行っても明確な病気が見つからないタイプの月経困難症です。子宮を収縮させる「プロスタグランジン」という物質が過剰に分泌されることや、子宮口が狭いことなどが関係していると考えられています。 特に思春期から20代前半の世代に多く見られ、身体の発達や加齢に伴い和らぐケースもあります。ただし、機能性だからといって痛みを我慢する必要はなく、日常生活に支障がある場合は積極的な治療の対象となります。
器質性月経困難症(病気が原因のもの)
器質性月経困難症は、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症といった疾患が原因で起こるタイプです。年齢とともに痛みが強くなる場合や、経血量が増加してきた場合は、器質性月経困難症が疑われます。 これらの疾患は早期に発見して治療を開始することで、将来の不妊リスクや生活の質(QOL)低下を防ぐことにつながります。強い痛みを「体質だから」と放置せず、原因を把握しておくことが重要です。
主な治療法(鎮痛薬・低用量ピルなど)
一般的な治療法には、鎮痛薬や低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)の処方があります。鎮痛薬は一時的な痛みの抑止に効果があり、低用量ピルはホルモンバランスを整えて月経量や痛みを大幅に軽減する目的で使用されます。 いずれの治療薬も、効果や適応、副作用には個人差があります。最終的な診断と処方方針については、医師とよく相談したうえで選択してください。
こんな生理痛は産婦人科で相談を
「受診の目安がわからない」という方に向けて、相談を検討すべき状況を整理します。生理痛の感じ方には個人差があるため、周囲と比較するのではなく「日常生活にどの程度支障が出ているか」を基準に判断するのがおすすめです。
日常生活に支障が出る・鎮痛薬が効きにくいとき
生理のたびに寝込んでしまう、学校や仕事を休まざるを得ない、市販の鎮痛薬を服用しても痛みが治まらない──このような状態が続く場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。 「生理痛はみんな耐えているもの」と我慢を重ねると、背景に隠れた疾患の発見が遅れるおそれがあります。日常生活への影響を感じた段階で、一度診察を受けることが大切です。
痛みが年々強くなる・経血量が増えたとき
以前と比べて生理痛が強くなってきた、経血量が急激に増えた、レバー状の血の塊が多く混ざるようになった──こうした変化は、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患のサインとして現れることがあります。 「年齢のせい」と自己判断して放置せず、症状の変化に気づいた時点で受診を検討してください。気になる変化や周期をメモしておくと、問診時の伝達がスムーズになります。
よくある質問(FAQ)
Q.生理中でも受診できますか?
生理中であっても、基本的には受診や診察を受けることが可能です。ただし、子宮頸がん検診など経血の影響を受ける検査については、生理期間終了後の受診を推奨される場合があります。受診の目的や状態に応じた適切なタイミングがあるため、事前に医療機関へ確認しておくと安心です。
Q.どんな服装で行けばよいですか?
内診や超音波検査を考慮し、着脱しやすい服装で来院するのが適しています。特にスカートであれば、下衣のみを脱いでスムーズに検査・診察を受けられます。締め付けの強いタイツやオールインワンタイプの服は避け、ゆとりのあるコーディネートをお選びください。
Q.費用はどのくらいかかりますか?
発生する費用は実施する検査内容によって異なるため、一律の金額を提示することはできません。生理痛の治療や必要な検査には基本的に健康保険が適用されますが、特定の目的による検査では自己負担(自由診療)となる場合もあります。概算の費用が気になる場合は、受診予定の医療機関にあらかじめ問い合わせておくことを推奨します。
まとめ
生理痛で産婦人科を受診すると、まずは問診で症状を詳しく確認し、必要に応じて内診・超音波検査・採血などを組み合わせて診察を進めます。内診は必須ではなく、性交経験の有無や不安の強さに合わせて医師と相談しながら決定できます。 日常生活に支障が出るほどの強い痛みや、経血量の急な変化などを感じた際は、痛みを我慢せず産婦人科へ相談してください。まずは問診で困っている症状を伝えることから診察を始めましょう。
参考文献
[1] 日本産婦人科医会「(1)月経困難症」 (https://www.jaog.or.jp/note/%EF%BC%881%EF%BC%89%E6%9C%88%E7%B5%8C%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E7%97%87/)
[2] Mindsガイドラインライブラリ「産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2023」 (https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00802/)
[3] 東京都 働く女性のウェルネス向上委員会「初めての婦人科受診。内診は必須ではない」 (https://women-wellness.metro.tokyo.lg.jp/columns/19/)
[4] 日本産科婦人科学会 (https://www.jsog.or.jp/)
